2019-01-01から1年間の記事一覧

愛着障害

人を愛することが得意だ。同時に憎むことも恨むことも傷つけることも得意だと思う。人間が嫌いで、気味が悪くて堪らない。しかし何者かを愛で慈しみたい欲求も同時に存在している。なので不可侵の絶対的な愛情の対象物に一人だけを据え置いて盲目的に愛し、…

今日死ぬことにした、私は臆病だから死ねるかわからないけれどもとにかく死ねる場所に行こうと思った奥深いところに行ってそのまま帰って来れなくなればいい怖いけどとてつもなく怖いけれども私は生きるのが下手すぎた父にも母にも恋人にも、愛されたくてた…

さくら

2年と少し付き合った恋人にとうとう別れを告げた。人生で打ち込むようにがむしゃらに人を愛せるのは、きっと数十年の中の5年かそこらだと思う。その限りなく短い期間を彼と過ごすことが出来たのは私にとって紛れもない幸運であった。愛していた。私は余りに…

アメリカンスピリット

アメスピの黄色、父親が昔吸っていたたばこの銘柄だ。安い居酒屋で彼の副流煙に塗れながら食べるご飯が嫌いでなかった。今でも、たばこの匂いや煙は苦手ではない。むしろ結構好きだったりする。久し振りに父親と姉とその娘(姪)と食事をした。大学が決まった…

終焉

本日の記事は全てフィクションです。未成年の飲酒喫煙は法律で禁止されています。三日連続で泥酔して覚えのないあざと根性焼きが点在する四肢を見て、ああ、久しぶりに精神科に行こうと思った。なんというか人生も人間関係も完璧に破綻してしまった私は常に…

桜桃忌とか憂国忌とか、自分の命日が代表作に擬えられるの少し羨ましい。私は何も残さずに終わってしまうから最後まで虚無のままなのだろう。耳鳴りも幻聴もふらつきも、人間としての機能が故障してるだけだ。結局不安定も憂鬱も脳味噌のどっか感情らしきも…

20 続

先日、意を決して母に成人式のことについて聞いた。友達の中にはもう振袖を選んだ子もいるのだがうちはどうするのかと。母の答えは至って短調で、そうして全く予想通りのものだったのでかえって安心してしまった。「振袖なんて、いくらかかるのよ」呆れたよ…

20

両親が離婚した次の年、姉は20歳を迎えた。成人式には行かなかった。母と祖母と振袖を見にいって、祖母がお金を出すと言ったらしい。母は、さも当たり前のように祖母の隣にひょろりと立っていた。その様が姉にとってはあんまりみじめで恥ずかしくて、彼女…

不幸論

生きていればいいことがあるよなんて、酷く陳腐な励ましだ。生きてきて良いことがまるでなかった人間なんてきっといないだろう。私然り。ただ不幸の割合が余りにも抱えきれないくらいに大きくて、他人の幸福の残りカスとか切れ端みたいなしょうもないたまの…

今日という日に

不可逆性の愛にじっくり火を通していたら、固く濁ってもう元には戻らなくなってしまった。今日も明日も明後日も失敗ばかりの小石を積んで私は人々の死を待ち続けなければならないのだろう。どうやったって辛いものは辛いのだし、少しでもいいから惰性で満足…

教育とエゴ

父親は前にも述べた通り私に幼児性を見出すことを何より嫌った。彼は根本的に子供を育てるのに向いていなかった。というよりも、子供を育てるという意識がまるでなかったらしい。彼は女を育てていた。性的な意味でなく、私をきちんと女として育てていた。父…

受診にあたり

自分を取り繕う癖がある。ごみくずのような人間の癖に自分を愛してやまないために、先生相手にすら自分を良く見せようとしてしまう。呆けたことを認めず表に出さず、介護の必要性を伝えることのできない老人のそれとなんら変わらない。どうしようもない。自…

病める夏

夏はいつだって寛容だ。春夏秋冬、悪事を押し付けられるのは専ら夏だ。夏のせいにすればなんだって赦される?安易な言い訳とサンセットとクロックス、彼等を区劃すべく太陽は愚直に昇る落りるを繰り返す。1年に大凡70回とかそこら。コンクリートとアスファル…

諦念と丁寧

思えば多くの事を諦めてきてしまった。あれがしたいこれが欲しいと縋り付いたこと自体、恐らく幼少期からほとんどなかったように思う。というよりも、激しく興味を惹かれる事柄に出会う事がずいぶん稀であった。尚且つ、手に入らないならばそれでまた良しと…

血縁と人

両親は、私が中学二年生か三年生の時に離婚した。悲しいことに、父と送った生活や出向いた旅先の記憶ががらんどうに抜け落ちている。ただ、家以外の学校生活であったりの記憶もさっぱり手放してしまっているため、家庭環境がそれほど忌まわしい訳でもなかっ…